ついにソニーは自社のパソコンの回収に追い込まれた。「ソニー、自社製品も電池回収 業績下方修正も検討」(10/17 21:11、http://www.sankei.co.jp/news/061017/kei022.htm)
今や、ソニー製の電池を利用しているパソコンで安全なもの、あるいは安心して使えるものはない、ということだろう。
ソニー製電池の欠陥による発火問題が発生した当初は、デルやアップルなど一部のメーカーの仕様の問題であり、他のメーカーの製品は発火する前に、稼動不能となり、パソコンは停止し、発火しない、と説明していた。通常はこのようにパソコンは停止するのに、デルやアップルではそうした回路を持たなかったため、停止せず、ソニー製電池の不具合が発火に直結した、と説明していた。
何か他人事だった。
ところが今回、ソニーは自社製の、多分仕様的には、ソニー製電池の欠陥が発火に直結しないはずのソニーのパソコンの回収に追い込まれた。
どうもソニーは自社の電池の問題点を把握できていないらしい。
当初ソニーは、電池製造時に混入した金属粒子が電池内で別の部品と接触してショートしたことが発火の原因としていた。ところが昨日、10月18日になって「ソニー製電池の不具合、『金属粉』以外の原因も」ということになってきた(2006年10月18日/日本経済新聞 朝刊、
http://it.nikkei.co.jp/pc/news/index.aspx?n=AS1D1709Z%2017102006)。
この記事は、「デルやアップル機の事故でソニーは『混入した金属粉でショートが起こった』と認めたが、レノボは日本で回収した事故機の元素分析で『異物混入を見いだせなかった』としている」と書いている。
僕の知り合いはソニー製のパソコンがで始めた頃、かっこいいけれど、どうも安定性に難があり仕事に使うには不安がある、と言っていた。現状ではソニーのパソコンを人命にかかわるような所、ダムの水位のチェックだとか信号の制御には怖くて使えないだろう。
ソニーはこれまで、いろいろなヒット商品を生み出してはいるが、車のようなその製品の欠陥がヒトの命に直結するようなものは製造してこなかった。彼らは半導体も作っているようだが、それはゲーム用のそれだと伝えられている。
今回の電池の問題はソニーのブランド力を大きく損ない、金銭的にも大きなダメージとなるだろう。このままソニーは衰退していくかもしれない。それはそれでヒトの命を危うくするような製品が世に出る確率が小さくなるわけで、歓迎だ。しかし、できれば今回の欠陥商品を送り出した経緯を振り返り、ヒトの命を危うくすることのない物造りを自動車メーカーや、自動車部品も作る他の電機メーカーから教えを受け、立ち直ってもらいたい。
それには相当時間がかかるだろう。しかしそれしかソニーが生き延びる道はないだろう。それともパソコンや電池を捨て、音響とゲームのメーカーに徹することになるかだ。