「731部隊―実像と虚像」講演録 質疑応答編 16
講演録に戻ります。
最初の方の質問の1は、当然講演の中で述べるべきことを僕が忘れており、質問1への答を折り込んで、講演録を作りました。
さて質問2は、「今日人骨(ほね)は731部隊との関連で言うと、実像か虚像かという話をされました。先生の話を聞いたら、必ずしも731部隊との関連が分からないということなんですが、もし、731でなかったら、どういうケースで人骨(ほね)が埋められたのでしょうか。
その時の答えです。
軍医学校跡地から出てきた人骨(ほね)に関連して言うと、こういう人体実験をやっていたのは石井機関だけではなかったわけです。具体的な例で言うと、例えば湯浅謙という軍医さん、彼は北京の近くの山西省で、第一師団の軍医でした。彼は数ヶ月に一回、手術演習と称して現地の人に対して外科手術の練習みたいなことをしていた。彼の『消せない記憶』(日中出版、1981年)という本の中に、中国まできた大阪大学の医学部助教授がそこで頭の脳を集めて帰っていった、ということが書かれています。
ですからこの17年前に発見された人骨(ほね)に関しても、人骨(ほね)が象徴する野蛮行為に関わっていたのは731部隊・石井機関だけではなくて、冒頭で司会者が指摘しましたけれども、日本の軍医の中でかなり幅広く、骨を集めたり、珍しい骨を探してきたり、そういうことを行っていたのではなかろうか、と思われます。
ですから逆に言うと、石井機関は決して特別ではなかった。中国のあちこちで日本軍は似たようなことをやっていた。その中で医者たちは、731部隊の異常さに気が付かなかった。むしろそういうことではないのかなというふうに考えています。
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